Colorful world
/ ART WALL at Ueno
今回JRの上野駅でのアートプロジェクト参加にあたり、新たに作品を発表させていただきました。今回僕が念頭においたのは、人々が行き交う、"駅"という公共性の高いスペースにアートを配置する意味。また、それに付随して引き起こされる鑑賞者の感情の揺らぎです。
まず、順を追って作品のビジュアル(見た目)に込めた意図にフォーカスし解説させて下さい。今回も、私がメインで制作しているデジタルデータイメージの再構築による肖像画作品を制作しました。しかし、ピクセル移動により描かれた線は過去作品にないほど、カラフルかつ多線に仕上がっています。これには、全ての人の個性や未来を尊重し、多様に切り開かれる世界を投影しています。さらにこれは、ポートレートでありながら、性別や人種が一見すると分からない人物像として立ち上がっています。これは、私の制作している肖像画の特徴でありながら、同時にひとりひとりを尊重した多様性の象徴と重なっています。
次に、私が本作において携えたテーマ(背景)について。今回、人々が行き交う公共のスペースだからこそ、伝えたい、いま伝えるべきこと。新しい社会にむけて、アートが"イマ"提示しておくべきことが込められています。そして、ここでいう新しい社会とは、具体的にはダイバーシティ&インクルージョンが実践される社会、つまり「多様性を包括しながら、互いに受容し合う社会」です。これは、私達がこの地球で生きていく上で、それぞれが考え、向き合い実行していくべき変わることのない理念です。僕はアーティストとして、この時代を超えた普遍的な命題に対して、自分のなりの答えをどのように提示していくのか。それが本プロジェクトの新作において問われていました。それを今回僕は、先述のアウトプットで解答したように感じています。
しかし、これはあくまで私の現状の答えであり、皆さんへの問いかけでもあります。もちろん、作品としては完成にもっていけたと、胸を張っていますが、大切なのは、「その先のアクション」だと思っています。
私の作品で足を止めてくれた人々が、何かを感じ取り、ひとりひとりの未来を構想し、尊重し、身近な事柄から行動に移せるキッカケになれば、作品は本当の意味で完成するのかもしれません。
長くなりましたが、駅という公共のスペースから、アートで未来を考え、ともにこれからの世界を創っていきましょう。
ART WALL at Ueno
三澤亮介 「Colorful World」
¥35,000-
三澤亮介新作「Colorful World」発表と同時に、本作をYAMANOTE LINE MUSEUM限定オリジナルプリント作品として
限定25部で販売いたします。
- [タイトル]
- [額サイズ]
- [作品サイズ]
- [販売価格]
- [Edition]
- 「Colorful World」
- 275 × 325 mm
- 203 ×254mm
- 35,000円 (額装)
- 25
※先着での販売とさせていただきます。
※2〜3月末にご購入された場合は、全て4月上旬での発送とさせていただきます。
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you and me
/ NAKAZURI GALLERY
”今回の作品は、乗客を乗せて回り続ける山手線とそこに同居する、ルーティーン化した時間と偶発性を表現しています。 そもそも、この企画を聞いたときに、電車という乗り物が果たすある種副作用的な、時間装置的役割を真っ先に思いつきました。 規則的な時刻表通りに、人がどこかに運ばれる時、それはルーティーン的でありながら車両、席単位で見ると二度とは発生しない偶発性を含みます。 だからこそ、その偶発性がこの作品を見ている間のわずかな時間、鑑賞者に対して意図的に引き起こされたら面白いと思ったのです。 さらに作品は、作品の中でベースとなる部分から時間性をある種クラッシュしたものになっていたとしたらベストでした。 なのでまず、作品の中の奥を見ている人物アイコンの型は、僕が実際に”少し前の過去”に撮影した人物写真をベースとしています。 そして、人物の中の色線は”数百年前の過去”のアーティストのパブリックドメイン化した作品を、”現代のデジタルソフト”上で解体したものです。 この段階で、過去のアート作品がデジタルの力で時代を超えて、僕の撮影した写真の中に収まりました。 次に、作品の中で進行しているストーリーとして、人物2名はともに何かに気を取られて窓の外を見ています。 これは、山手線の車内から窓の外を見る様子イメージしています。何かを気にして二人は窓の外を見ているのです。 この時、画の中の時代を超えたアイコン二人は、山手線の中で進行する無限の時間に閉じ込められています。 そして、今回の企画によって、つり革の位置にかけられた作品を鑑賞者が見つけ、アイコン二人の同一視線の方向を見るとき、 鑑賞者は物理的に車内の進行方向を向きます。そこに流れる時間は、作品と相まってランダムになり、かつ電車は止まることなく景色を変えて進み続ける。 その時、鑑賞者は作中のアイコンと共に、偶発性を内包しルーティーン化した時間の波に中に飲み込まれるのです。 ”
PROFILE
1992年生まれ、福井県出身の現代アーティスト。 立教大学映像身体学科卒業後に、写真家を経て2020年より現代アーティストの活動を本格化させた。 自身のバックグラウンドにある映像や写真といったデジタルメディウムをベースに、アナログなペインティング領域までをクロスオーバー。 領域を横断した際に起こる歪を、線画に落とし込む「メディアパラドックス」という独自の手法を用い作品制作を行う。 デジタル視点からアナログに落とし込んだ作品の中で目指すのは、既成概念の「更新/アップデート」。
NAKAZURI GALLERY
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